禁断のプロポーズ
「あの、そういう言い方されると、既に、襲われてるの前提みたいなんですけど。

 そんな人ではなかったです。

 っていうか、そんな人なら、かばわないし、手近にあった鍬で一撃にしてます」

「……鍬はやだなあ」
と何故か襲った側の立場に立っているらしい克己が呟く。

「ねえねえ、その人、格好よかったの?」

「まあ、そうなんじゃないでしょうか」

「そうよね。
 そうじゃなきゃ、匿ったりしないわよね」

 いや、それは偏見だ。

「私、弱っている人に弱いんです」
と言うと、克己が夏目を振り向き、

「夏目、お前、なんか弱ってた?」
と訊いていた。

 いえ、と夏目が答える。

 彼は、話し終えるまで、終始、複雑そうな顔をしていた。

「傷がぼちぼち癒えた頃、その人は居なくなりました。

 それで終わりです。

 その人が、私が唯一、気になっていた人です」

「それ、傷の具合が気になっている人の間違いじゃ……」
と言う克己に、

「そうかもしれません。

 だから、所詮、その程度の話しかないんですよ、私には。

 ああ、箸が止まってますよ。

 せっかくの水沢さんのご飯が冷めちゃいますよ。

 いただきますねー」
と話を打ち切るように、未咲は食事を始めた。

 みんなは少し遅れて食べ始める。
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