禁断のプロポーズ
「貴方に命令されたくありません」

「昨日のことで話があるんだ」
と言った智久の側まで、ツカツカと行き、彼を見上げて言った。

「昨日の話、見切り発車でしたじゃ、すみませんよ」

「いや、根拠はある」

 責めておいてなんだが、その台詞は聞きたくなかったな、と思った。

「すみませんよって、夏目と別れたのか?」

「別れるわけないじゃないですか。

 そんなよくわからない話のせいでっ」

「だから、今夜はうちに帰ってこいと言ってるんだ」

「帰りませんよ~っ。
 どんな嫌がらせするかわからないからっ」

 智久は腕を組み、

「ともかく来い。

 待ってる。

 と言っても、俺の帰りは遅いがな」
と言う。

「早く帰れるよう、調整します」
と手帳を開きながら佐々木が言う。

 ありがとう、と言い、智久はそのまま部屋に入っていった。

 佐々木は何故かついていかなかった。

 手帳を閉じ、智久の消えた扉を見ていた佐々木は、

「……あ〜、おかしかった」
と生真面目な顔のまま呟く。

 はい?
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