禁断のプロポーズ
 夏目が目を見開く。

「私の実の母親は、昔、まだ、第二とかなかった頃の秘書室に居たんです。

 私のお姉ちゃんの父親は、彼女の夫なのかもしれませんが、私の父親は、……会長かもしれません」

 夏目さんと同じ、と小さく言った。

 夏目は少し考えたあとで、風呂の縁に腰掛ける。

 脚を組み、
「じゃあ、お前も会社の跡を継ぐ権利があるな」
と言い出す。

「いや、そんなことはどうでもいいんですよ。

 私にとって問題なのは、夏目さんと私が兄妹かもしれないってことです」

「……あの爺さん、どんだけ隠し子が居るんだろうな」
と呟いたあとで、

「それ、広瀬に聞かされたのか」

 あいつの言うことを信じるのか、と言う。

「わかりませんけど」

「じゃあ、確かめてみろ。

 DNA鑑定でもすればいい」

「嫌ですよ、怖いじゃないですか。

 本当に兄妹ですとか言われたらどうするんですかっ」

「聞かなかったことにしたらいいじゃないか」

「じゃあ、最初から調べなきゃいいんですよ」

「そうだ」
と夏目は言った。
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