禁断のプロポーズ
 


 その店の前に、既に夏目は立っていた。

 やばい……。

 こういうとき、私が遅れてきて、いいものだろうか。

 そう思いながら、未咲は足を速めた。

 にしても、やっぱり格好いいな、この人。

 っていうか、結構、好みかも。

 そんなことを考えていたら、夏目がこちらに気づいて振り向いたので、つい、ごまかすように笑ってしまう。

「す、すみません。
 迷っちゃって」

 嘘ではない。

 迷ったのも本当だ。

 夏目は、
「いや、いい。
 行こう」
とさっさと中に入ってしまう。

 夏目は個室を予約してくれていた。

 座敷だ。

 夏目と向かい合って腰を下ろした未咲が、思わず、畳を眺め、ああ、此処に行き倒れたい、と思っていると、

「横になってもいいぞ」
と夏目が言った。

「い、いえ、大丈夫です」

「構わない。
 店員が覗く以外は誰も来ない」

 あれっ? と思う。

 もしかして、それで此処にしてくれたのだろうか。
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