禁断のプロポーズ
「そうだな。

 お前の姉さんの方が、お前の母親に近いかな」

「智久さんは、母をよくご存知なんですね。

 水沢さんもみたいですが」

「水沢の離婚した父親が秘書だった頃、あいつ、よく会社に遊びに来てたようだからな」

「……どうも母のことが好きだったようで」

「熟女好みだな。
 俺は若い方がいい」
とろくでもないことを言い出す。

「だから、高校生の私に声をかけたんですか?」

 莫迦か、と智久は言う。

「その顔だったから、興味があって、と言わなかったか?

 第一、あの頃はまだ、俺も今より随分、若かっただろうが。

 今、高校生に声かけたら、問題だが」

 いや、どのみち、買おうとした時点で、問題ですけどね、と思っていた。

「とかもく、貴方がおねえちゃんの内緒の恋人だとわかって、気づいたんですよ。

 プライドの高い貴方が、誰かの愛人である女と付き合うとは思いません。

 では、おねえちゃんが愛人で、から始まる推理は、すべてバツってことです」

「いや、社内の秘密を知って消された、というところに関しては、愛人じゃなくとも、秘書ならあることだぞ」

「まあ、そうなんですけど。

 今のところ、あの社内に、人を殺さなきゃいけないほどの秘密もないような気がするんですが」
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