禁断のプロポーズ
 



 いろいろ想いを巡らせすぎて疲れ、とぼとぼと夏目の家に帰った未咲は、えっ、と思った。

 家の前にパトカーが止まっていたからだ。

 近所の人たちも集まっている。

「なにかあったんですか?」

 顔見知りのおばさんに訊くと、
「ああ、未咲ちゃん、何処行ってたのっ。
 泥棒よ、泥棒」
と慌てたように言う。

「泥棒?」

 なんでまた、こんな特に金もなさそうな普通の民家に。

 近くに孔雀も居るような豪邸があるのに。

 鍵もかけてなさそうだからだろうかな、と思った。

「夏目さんは?」

「夏目ちゃんは大丈夫」

 子供の頃のまま、おばちゃんたちは、大きくなっても、彼を夏目ちゃんと呼んでいる。

 ほら、今、そこでお巡りさんとお話ししてるじゃないの」

 なるほど、野次馬の向こう、玄関先で話している夏目の姿が見えた。

 とりあえず、ほっとする。

「この子、だあれ?」
と近くに居た知らないおばさんが、いつものおばちゃんたちに未咲のことを訊いていた。
< 299 / 433 >

この作品をシェア

pagetop