禁断のプロポーズ
「はい」

「同居人ということでしたが。

 さっき、近所の方が、此処には奥さんもお住まいだと言ってらっしゃったんですけど」

「……籍も、式もまだですが、妻です」
と少し迷ってから、紹介してくれる。

 振り返った夏目に、なにを照れてるんだ、という目で見られたが。

 嬉しかったのだ。

 話の上だけでも、妻になれたことと。

 夏目がそう言ってくれたことが。

 しかし、へらへらしてばかりもいられない。

「一体、なにがあったんですか?」
と問うと、

「お前が智久のところに行ってくるというから」
と言う。

 やましいことなどないという証明に、智久に話を聞きに行くとことを彼にも伝えてあった。

「残って、仕事を片付けてたんだ。

 ……一人で家に居ても、落ち着かないからな」

 よく送り出してくれたな、とは思う。

 姉とのことを問い詰めに行ったのに。

 智久が逆上して、なにかしてくるような男ではないと知っているからだろう。

 意外と智久を信用しているのか。

 まあ、智久が言うように、夏目が犯人で、智久が犯人でないことを彼が知っているから、という想定も出来るが。
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