禁断のプロポーズ
「さっき帰ってきたら、こんな感じだった」
と夏目は廊下を見ながら溜息をつく。

「なにか取られたんですか?」

「現金が少し。

 それより、家の中が荒らされてる。

 お前の荷物も」

「……わざわざ荒らしていったんですか。

 腕の立つ泥棒だったら、気づかれないように取っていくって言いますけどね」

「腕の悪い泥棒だったんじゃないですか?」
と警官が口を挟んでくる。

「それか、ご主人が急に帰って来られたので、慌てて出て行ったとか」

 そうかもしれないな、と思いながらも、ちょっと冷静には考えられなかった。

 ご主人か。

 いい響きだ、と場違いにも感動していたからだ。

「智久はなんて言ってた?」

 余程、気になったのか、夏目がちらとこちらを見て、小声で訊いてくる。

「貴方が犯人だそうですよ」

 聞こえたらしい、
 え? なんの?
という顔を警官がしていた。

 だから、
「宴会で酔ってくると、ドロ警始めるんですよ、この人たち」
と言うと、

「あ、うちの田舎では、警ドロって言うんですよ。

 でも、酔ってやると、足がもつれませんかねー」
とどうでもいいことで、首を捻っていた
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