禁断のプロポーズ
「え?
 なにをですか?」

「もう一度、あの日記見せてみろ」

「持ってません」

「日記、持ってったんじゃないのか」

「いえ、あれは私のです」
と言うと、

「……お前、日記なんか書くのか」
と智久と同じことを言う。

 いやだなあ、やっぱり、この二人、結構似ている、と思った。

「待て。
 お前の荷物も一応、確かめるように言われて、確かめたんだが。

 なにがなくなってるのか、具体的にはわからなかったが。

 少なくとも、日記はなかったぞ」

「えっ?」

 慌てて、家に入ろうとしたが、鑑識の人に止められる。

「うわっ。
 ちょっと待ってくださいっ。

 まだ終わっていないので」

「あのっ、自分の鞄の中から大事なものがなくなってるかもしれなくて」
と言うと、わかりました、と取って来ます、と言われる。

 しばらくしてやってきたボストンバッグの中に、入れていたはずの姉の日記はなかった。

「ご旅行にでも行かれるところだったんですか?」
と持ってきた鑑識の男に言われ、は? と思ったが、此処に住んでいる妻のはずなのに、荷物をバッグに詰めているからだろう。
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