禁断のプロポーズ
「いや、特になにも……」

「鞄とか貴金属とか、なくなってないか?」

「鞄ですか?
 ちょっと確認してきます」
と未咲はクローゼットの前に立ち、開けて閉めた。

「異常はないですが」

「じゃあ、かえっておかしいだろう。
 なんで、その日記だけない」

「そ、そうですよね」

「実はお前も気づいていないなにかがその日記に書いてあったんじゃないか?」

「例えば?」

「お前の姉貴が自殺するに至った真相とか。

 お前が読んでもわからないが、関係者が読んだらわかることが書いてあるとか」

「……第二とは言え、秘書だったから、なにか会社の中の秘密が、私にはわからないように書いてあったとか?」
と言うと、

「第二だからこそ、知ってることもあるかもしれないぞ」
と言う。

「どういう意味ですか?」

「まあ、お前は知らなくていい。

 どうする?」

「は?」

「誰かが侵入した家は不気味だろう」

「そ、そりゃまあ。

 窓も破られてないのに、物がなくなってるというのが、またなんとも」

「じゃあ、うちに来るか」
と夏目は言った。

「え?」
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