禁断のプロポーズ
「お前、え、とか、は、とか多いな。

 そんな間抜けた返事をしていると、また、専務に怒られるぞ。

 警察には通報しないのか」

「うーん。

 日記がなくなりましたって言っても、そりゃ、なくしたんじゃないのって言われそうですよね。

 それに、なにか問題のあることがそれに書かれていたのなら、騒ぎ立てしないで探した方がいい気がします。

 もし、誰かが持ち去ったのなら、おねえちゃんの関係者でしょうから」

 探すことはできる気がする、と言うと、夏目は、
「俺はお前と居たからな」
と言い出した。

「は?」
と言いながら、また、は? と言ってしまった、と思う。

「俺はお前と居た。

 お前より先に店の前に居た。

 俺が日記を取るのは不可能だ」

「そんなこと言ってないじゃないですか」

「いや、例え、誰であろうとも、疑ってかかるべきだ。

 可能性はひとつずつ完璧に潰していけ」

 この人と一緒に仕事をしたことはないけど、切れ者だという噂は本当のようだな、と思った。

「わかりました。

 でも、そういえば、課長は、うちの自宅を知りませんよね。

 此処には来られないじゃないですか」

「まあ、人事部に訊いても教えてはくれないだろうからな。

 しかし、お前の後をつけるという手もあるが」

 いや、それは不可能だ、と未咲は思った。
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