禁断のプロポーズ
 


 お茶出ししたあと、専務のお使いに出た未咲が大欠伸をしながら、廊下を歩いていると、克己が声をかけてきた。

「おはよう。
 随分、会社に慣れてきたようだね。

 堂にいったダレ方だ」
と笑う。

「なんですか、それ」
と未咲は赤くなった。

「そういや、夏目とは、あれからどうなった?」

「えっ。
 どうって?」

「キューピットやってあげたの、忘れたの?」

 そういえば、克己が夏目との連絡係をしてくれたんだった、と思い出す。

「あの節はありがとうございました。
 課長と一緒にお食事に行きました」

「それで?」

「それでって、それだけですよ」

 なにそれ、つまらない、と克己は言うが、此処で、彼が言うところの、つまる話をするわけにもいかない。

「順調にお付き合いは進んでるわけ?」

「いや、どうですか。

 この間まで、ほとんど会ったことも話したこともなかったんですから。

 よくわからないです」

 実際、一緒に暮らしてみても、まだどんな人なのか、よくわからない、と思っていた。

「わからないって言えば、僕は君がわからないねえ」

 そんなことを克己は言い出した。

「最初はただ可愛い子だなって思ってたんだけど。

 やっぱり、なんだか得体が知れないよね」
と笑顔だ。
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