禁断のプロポーズ
「最初に得体が知れないはよく言われるんですけど。
 あとからって言うのは、初めてですね」

「そもそも君は何者なの?
 愛人課のお嬢さん」

 そういう言い方を克己はしてきた。

「……なんでですか?」

「得体の知れない相手に種明かしはできないよ。

 話してくれれば、協力はできるかもしれないけどね」

 協力ねえ。

 だが、自分が追求しようとしている真実が、克己にとってまずいものなら、逆に隠蔽されてしまうかもしれない、と思っていた。

「考えときます」

「そういう言い方をするってことは、やっぱり、なにかあるわけ?」

「カマかけたんですか?
 なにもないですよ」

「じゃ、君のこと、調べてもいい?」

「……死にますよ」

「そんな重大な秘密があるわけ?」

「いや、それが。
 重大なのかそうじゃないのかわからないから、困ってるんです」
と言うと、

「だから、ほら、話してみなよ。
 夏目だけじゃなくて、僕にもさ」
と言う。

 その言葉に克己を見ると、
「なにかあって、夏目に近づいたんだろ。

 わかるよ。
 君はずっと、入社したときから、夏目を目で追ってる。

 恋をしてる目じゃなかったね」
と言った。

 いつもただ、ヘラヘラしているように見えるが、それは、擬態なのか。

 それとも、言い方は悪いが、チャラくさく、派手な外見のせいなのか。

 やっぱり、この人、油断ならない、と思った。
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