禁断のプロポーズ
 早足でこちらに来ながら言う。

「あんた、遠崎課長にもプロポーズしたんですって」

 『も』って、なんだろう。

 一人にしか言ってないけど。

 水沢さんと話しただけで、もうプロポーズした扱いになっているのだろうか、と思った。

「あれは、えーと、勢いあまっちゃいまして。

 課長にちょっと話したいことがあっただけなんですけど。

 でもまあ、どちらかと言えば、遠崎課長の方が水沢さんよりは好みです」
と言うと、あんた、なにぬけぬけと言ってんの、という顔をされる。

「だから、どなたか、水沢さんがお好みな方がいらっしゃるんでしたら、ご協力いたしますけど」
と言うと、えっ、とこの中ではリーダー格らしい女が言った。

 いまいち、話の流れについていけてないようだが、それでも、少し赤くなる。

 桜もそうだが、普段、気合い入って、頑張ってたり、厳しかったりする人間の、こういう顔を見ると、親近感がわくと言うか。

 可愛いと思ってしまう。

 そんなこちらの表情に気づいたのか。

「なに笑ってんのよ、あんた」
と女は威嚇してくる。
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