禁断のプロポーズ
「……ほんとにあんたは訳がわからない」
と呟きながらも、ちょっと考え、

「でも、水沢さんと親しいのなら、今度、呑み会、セッティングしないさいよ」
と言い出した。

 周りにお付きのもののように従っている女たちが、ええっ、という顔で、彼女を見る。

「オッケーしてもらえるかどうかはわかりませんが、やってみます。

 でも、水沢さんとは、えーと……灰原(はいばら)さんの方が親しいんじゃないんですか?」

「あんた、私の名前、覚えてなかったわね」

 そっとネームプレートを見たつもりだったのだが、バレバレのようだった。

 灰原はちょっと困った顔で言う。

「水沢さんは誰にでも優しくてフレンドリーだけど。

 なんていうか。

 個人的に近づこうとすると、さっと交わされるっていうか」

 そりゃ、愛人課の美女たちと迂闊に付き合って、妙な噂でも流れたら、仕事と出世に響くからでは、と思っていた。

 まだ若いが、将来を嘱望されている克己は、いずれ、秘書室長になるのではないかと噂されていた。

 ただ、克己がずっと秘書で居たいのかどうかはちょっと疑問だが。
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