禁断のプロポーズ
「それは課長ですよ」

「泊まらせてやってるから、リップサービスか」

「なに疑心暗鬼になってるんですか。

 本当ですよ。

 広瀬専務はなんていうか、こう、隙がない、というか。

 そういう対象じゃない、というか」
と言うと、へえ、という顔をする。

「なに疑ってるんですか」

「いや、別に」

「そもそも疑う理由がわかりませんが。

 広瀬専務が気になるといえば、出世争いで残るのは、課長と専務かなあって思うことくらいですかね」

 まあ、どうでもいいですが、と言いながら、漬物を口にした。

「やっぱり、男は出世した方がいいのか。

 課長夫人じゃ嫌か」

「嫌ですね。

 その、なんとか夫人という扱いが。

 私は私です。

 どうせなら、課長夫人じゃなくて、切れ者の美人秘書、とか呼ばれてみたいです」

「本気か。
 会長の前で、仕出しひっくり返した女が」

「……冗談ですとも」
と言いながら、夏目が見ていた番組をえい、と変えてやった。
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