禁断のプロポーズ
「なんなのよ、もう~っ」
と言う桜に、

「あの〜、平山さんは、広瀬専務がお好きなんですか?」
と訊くと、彼女は赤くなり、

「なにストレートに訊いてんのよ」
と言う。

 確かに、綺麗な顔をした男だし、会長の親族な上に、仕事も切れる。

 だが――。

「……彼はやめておいた方がいいですよ」

「なにそれ、脅し?」
と睨む桜に、

「いいえ。
 忠告ですよ」
と未咲は言った。

「じゃ、失礼します」

 頭を下げて行こうとすると、桜は慌ててポーチを取り、追いかけてくる。

「もう〜っ。
 なんなのよ、あんたはっ。

 得体が知れないのよっ。

 その顔も不気味だし」

「顔?」
と未咲は足を止めた。

 桜は一瞬、言い淀んだあとで、

「……私の知ってる女によく似てる」
と言う。
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