空っぽのイヤホン(仮)
萩野くんも予想外だったみたいで
大きな目をパチパチ瞬かせていた。

「ヤダってお前…。
俺だけじゃなくて聖奈も待ってるんだっつーの!」

「聖奈が寂しくないように、諒が一緒にいてあげてよ。」

「そうじゃねえだろ!
それに……残り少ないだろーが。」

「っ…それが嫌なんだって!
なんでお前らはそう…。」

そこまで言って、私がいることを思い出したようにハッとする五十嵐。

気まずそうに目を伏せると、薄い唇からため息を漏らした。

初めて見た声を荒げる五十嵐と萩野くんのただならぬ雰囲気に、堪らずその場から去ろうとした

そのとき。
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