空っぽのイヤホン(仮)
「えっ!?」と声をあげようとしたのを感じ取ったらしい。

五十嵐が私の後頭部をグッと自分に押し付けて、くぐもった声が布に吸い込まれてしまう。

「は…?彼女って、嘘つけよ。」

「嘘じゃない。」

「だって、聖奈のことは…?」

きっと見た目ではわからない。
でも、触れている私はわかってしまった。

萩野くんが出したその名前に、ピクッと指が動いたこと。

鼓動がはやくなったこと。

「聖奈は、お前が側にいるでしょ。」

その声が、震えていること。

やっぱり私、五十嵐のこと何も知らなかったんだ。

こうやって近距離だと、あまり変わらないだろうと思ってた身長。
五十嵐の方が全然高いことにも今さら気づいて。

聖奈さんっていう人が、五十嵐にとってどんな人なのかも知らない。
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