冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 その日の夜、リューリがうけた報告は、傷の男がどこかのうちの
 召使いと密会していたというものだった。

 やはり、あの男は、不法取引をしている貴族のだれかと繋がっている。



   「引き続きさぐって頂戴。」



 リューリは気が急いていた。

 運河の交易権の問題は、戦後の混乱期だからこそ、付け入る隙がある。

 いたずらに時間がすぎるのを待ってはいられない。



  (このチャンスを大切にしなければ)


 そう思うあまり、リューリはこのことを誰にも秘密にした。

 アシュレにさえも。

 今、このことをアシュレに話すのは躊躇われた。

 アシュレと関わりを持つことに臆病になっていたが、リューリ自身
 はそれにきがついていなかった。

 リューリはぎゅうっと拳をにぎった。
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