冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
運河からひきこまれた水路は小舟一艘が、楽に通れる巾があった。
その水路に沿った道を上流の方へと辿っていく。
町中から30分は馬車を走らせたそこに、古ぼけた小屋があり
小舟が一艘つながれているのが見えた。
そばには、馬車も二台ほどとめられている。
(きっとあれがそうだわ)
離れたところに馬車をとめさせたリューリは、フード付きの大きめ
の外套を着込んで、馬車をおりた。
「リューリ様、おやめ下さい。」
青い顔をした御者が、おろおろとリューリの前に立ちふさがるが
リューリは聞こうとしない。
馬車のうち一台は遠目にも、身分の高い者のものだとしれた。
馬車に紋章がついていれば、どこの家のものかすぐにわかる。
せめて、馬車のちかくまでいけないかしら、とリューリは考えた。
アシュレから渡された短剣は持った。
そして、馬車の中から、もう1つアシュレから渡された鷹の
鳥かごをとりだした。
もし、アシュレ様のいうことが本当なら、鷹がここまでアシュレ様を
導いてくれるかもしれない。
そう考えて、リューリは鷹を空に離す。
鷹は前のときと同じように、二、三回、リューリの上を旋回し
遠く、空を羽ばたいていった。