冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~

 建物の回りには人はみえない。

 寒いからみんな中に入っているのだ。

 だとすれば、馬車を見るぐらいわけないかもしれない。

 リューリはそう考えたが、それは甘い考えだった。



   「誰だ!」



 それほど小屋に近づかぬうちに、リューリと御者は足を止められ
 三人のならず者に囲まれてしまった。



   「なんだぁ?」



 フードを深く被ったリューリと御者をじろじろと眺め回し



   「どこかのお嬢さんと召使いか、こんなところで何をしている。」



 と聞いてきた。


  (どうしよう、なんて答えればいい?)



   「馬車に酔ったようで、少し散歩をしているのです。」



 リューリの答えに、親分格なのだろう、頬に傷のある男が顎をしゃくった。



   「馬車の中に金目のものがあるかもしれん。
    探ってこい。」

   「へい。」
< 91 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop