冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
建物の回りには人はみえない。
寒いからみんな中に入っているのだ。
だとすれば、馬車を見るぐらいわけないかもしれない。
リューリはそう考えたが、それは甘い考えだった。
「誰だ!」
それほど小屋に近づかぬうちに、リューリと御者は足を止められ
三人のならず者に囲まれてしまった。
「なんだぁ?」
フードを深く被ったリューリと御者をじろじろと眺め回し
「どこかのお嬢さんと召使いか、こんなところで何をしている。」
と聞いてきた。
(どうしよう、なんて答えればいい?)
「馬車に酔ったようで、少し散歩をしているのです。」
リューリの答えに、親分格なのだろう、頬に傷のある男が顎をしゃくった。
「馬車の中に金目のものがあるかもしれん。
探ってこい。」
「へい。」