冷酷皇帝と偽りの花嫁~政略からはじまる恋の行方~
力なく顔をあげたリューリの目に一頭の馬が、騎兵隊の一団から
はなれ、こちらに駆けてくるのが見えた。
(あれは、、あの黒馬は、、、)
すごい早さで駆けてきた黒馬から降りたったのはアシュレだった。
リューリに近づき、リューリの前に跪いたアシュレは、青ざめたリューリの
頬に手を当てた。
「リューリ!何があった?」
リューリは何も答えれなかった。
ただ、目の前にアシュレがいることだけが、理解できる。
「ならず者に襲われまして、、、。」
側にいた御者がかわりに答えた。
「大丈夫なのか? リューリ!」
リューリはアシュレの顔を見つめた。
アシュレの顔は心配に歪んでいる。
「だ、大丈夫、、、です。」
やっと聞けた、リューリの細い声に、アシュレは安堵のため息を
はくと、そっとリューリを抱きしめた。
「よかった、、、あの鷹が飛んできたときは、息がとまるかと
思った。リューリが無事で本当によかった。」