能あるイケメンは羽目を外す
……恋人って一緒にいるとこんな風に過ごすのかな?

章介とはいつも外で会ってたから、こんなドキッとすることなかったな。私と章介の付き合いが変わってたのかもしれない。私と章介の関係って私の妄想で勝手に作り上げてたような関係だし……。私は彼に甘い言葉だけもらって満足してた。

本来ならお互いに甘え合って……支え合って……生きてくものだよね?

今……こんな風に頼られるって……恥ずかしいけど、ちょっと嬉しいかも。

「……て、私達……恋人でもないじゃない」

ハッと我に返って自分に突っ込みを入れ、現実を思い出す。

私達は何の感情もなくただあの日身体を重ねただけだ。

身体から始まる関係なんて……きっとろくな事にはならない。

見て叶わないとわかっている夢なら見ない方がいい。

神様の悪戯で今こんな事になってるけど、陽斗の近くにこれ以上いるのは危険だ。

陽斗の側にいると、安心してよく眠れる。

彼の温かさに慣れてしまったら、彼の元を去るのが段々難しくなる。

「明日にはここを出て行かないとね」

ハァーッと溜め息をつくと、ポケットからそっとスマホを取り出し、賃貸情報を見る。

陽斗がいない間もアパートをずっと探したけど、良い物件は見つからなかった。
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