能あるイケメンは羽目を外す
彼はベッドルームにいてキングサイズのベッドに腰掛けながら水を飲んでいた。

「髪、乾かしてないでしょう?」

私の姿を見るなり彼はそう咎めて、バスルームからドライヤーを取ってくると、ドレッサーの前に私を座らせ私の髪を乾かし始める。

「風邪引くよ。それに、こんなに長くて綺麗な黒髪なんだから大事にしないと」

鏡越しに彼が笑いかける。もうさっきまでの冷たさは感じなかった。

彼は乾かし終えると私の髪にチュッとキスをして、背後から優しく私を抱き締める。

「そう言えば、名前聞いてなかったね。何て言うの?」

「……成沢楓」

たった一晩の相手だし、偽名を使う必要はないだろう。

私は正直に自分の名前を口にした。

私の事なんて彼はきっとすぐに忘れるに違いない。
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