能あるイケメンは羽目を外す
「楓」

私の名前を愛おしげに呼ぶと、陽斗は再び唇にキスをする。

奪うと言うよりは、与える……そんな優しいキスだった。

重なる身体。伝わる彼の熱。そして、自分に向けられる彼の熱い眼差し。

身も心もボロボロになればって思ってたのに……。

意識が遠くなる中、私は知らず呟いていた。

「陽斗って……温かい」

「楓も温かいよ」

私の髪を撫でながら、陽斗がギュッと私を抱き締める。

一夜だけの関係とわかっているのに、その腕に甘えて身を委ねてしまう。

私にはもったいないほど贅沢で幸せ過ぎる時間。

それを与えてくれたのは陽斗だ。

すっかり冷えきっていた私の心と身体を彼は温めてくれた。

陽斗が自分の運命の相手だったらどんなに良かっただろう。

でも……朝がくれば、この夢のような時間は終わる。
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