能あるイケメンは羽目を外す
「私の知らない陽斗知ってる杉原さんがうらやましいです」

「でも、今のあなたはあなたしか知らない社長をたくさん知ってるじゃないですか?」

「そうですね」

私が杉原さんと顔を見合わせてクスッと笑うと、教会の扉が開きオルガンが鳴り響いた。

「さあ、行きますよ。転ばないように」

「はい」

杉原さんの腕に手をかけ、陽斗の待つ祭壇まで一歩一歩歩みを進める。

ウェディングドレスを着て歩くのは難しい。

緊張でドレスを踏んで転びそうだし、この履き慣れないヒールの高い靴も結構厄介だ。

どうか転びませんように。

何度もそう心の中で念じながら、私に向かって優しく微笑む陽斗の顔をじっと見つめる。

落ち着け。大丈夫。陽斗も見守ってくれてるし、ただ歩くだけだよ。

カチカチになってる私を横目でチラリと見て、杉原さんがボソッと呟いた。
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