能あるイケメンは羽目を外す
……今さら考えても仕方ないか。

彼の書類をチェックしていくと、押印漏れがあった。

どうしようか?

いつもなら笑顔で営業部に行って直接彼に印をもらうところだが、今はまだ彼に会いたくない。

でも……これは仕事だ。逃げていても仕方がない。

会社を辞めない限り、彼に会うことは避けられないだろう。

ハアーッと溜め息をつくと、重い腰を上げて書類を持って営業部に向かう。

知ってる人とは会いたくなくて下を向いたまま歩いていると、ドンと誰かにぶつかった。

「痛っ……‼」

よろけてバランスを崩したが、誰かに腕を捕まれ抱き止められる。

「大丈夫?」

聞き覚えのある声にハッとして、声の主を見上げる。

それは陽斗だった。
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