Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 夕映えの柔らかい光に包まれて、グラウンドから上がってきた遼太郎の姿が、みのりの目に浮かんだ。

 1年前に同じ場所で見た光景を思い出して、不意に遼太郎を意識してしまった。途端に、みのりの心が激しく揺り動かされ始める。
 見つめる夕焼けが、涙で滲んでくる。心の痛みに胸の鼓動が速く大きくなり、顎が震えてくる。


――……どうしよう……!


 ここが学校だということは分かっているのに、みのりの心は張り裂けて哀しみが爆発しそうになる。

 それを何とか押し止めようと、みのりは目をきつく閉じ、歯を食いしばった。


「みーのーり、ちゃ――ん!!」


 その時、グラウンドの方から声がした。

 突然のことに、みのりがパッと目を開けると、心の中から遼太郎の影は消えた。


 みのりは目をこすって涙をごまかし、顔を上げて自分を呼んだ人物を探す。
 こんなふうにみのりを呼ぶのは、二俣だけのはずだったが、女の子の声だった…。

 すると、ジャージ姿の女の子が、みのりの方へと駆け寄ってきている。


「みのりちゃん、ですよね?」


 そう言って明るく笑った少女を見て、みのりも弾かれるように言った。


「…二俣…さん?」


 クリッとした大きな目が、二俣とそっくりだ。


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