Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「本当は入学してすぐに会いたかったけど、実は先生がみのりちゃんって分かったの、つい昨日なんです。この学校、先生の数が多いし、学年の違う先生は名前と顔がなかなか一致しなくて。」


 確かに、今年度みのりは1年生の授業には行っていないので、1年生にとっては遠い存在だろう。みのりも1年生と顔を合わせることなんてほとんどなかった。


「でも、みのりちゃんを見て、名前を確かめなくても、すぐに分かったよ!『あー!みのりちゃんだー!!』ってね。」


 底抜けに明るい愛のこの表情に、哀しみで傷んでいたみのりの心も包み込まれて癒されていく。
 この笑顔に触れ合っていられる間だけは、心を疼かせる辛いことも忘れられる。そんな生命力に満ち溢れた生徒の存在は、今のみのりにとって心のよりどころだった。


「愛ちゃんは、何か部活動やってるの?ジャージ着てるけど?」


 みのりの問いかけに、愛も自分のジャージ姿を見下ろして「あはは」と笑った。


「ラグビー部のマネージャーになったんです。江口先生からスカウトされて。」

「そう…!」


 これを聞いて、みのりは本当に心から嬉しくなって笑顔になった。
 なんだかんだ言っても、この兄妹は仲が良く、特に妹は兄のことを慕っているようだ。そうでなければ、兄が打ち込んでいたラグビーに関わったりしないだろう。



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