Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
時間割の提出の期日が迫っているので、早く決めてしまわなければならないのだが、慎重な性質の遼太郎は、まだそれらを決めかねていた。
「あの……、胸囲……。何センチですか?」
「………………えっ?!」
突然尋ねられて遼太郎が顔を上げると、ベンチの隣に新入生と思しき男子が座っている。
「……え?……胸囲?!……な、何で?」
「いえ、細身に見えるけど、けっこう立派な体格してるなぁ~…って思って。」
「…………!!」
その言葉を聞いた途端に、遼太郎の全身に鳥肌が立った。
――……こ、コイツは、〝そっち系〟の男に違いない……!!
そう直感すると、遼太郎はどう対応していいのか分からなかったが、無視するわけにもいかず、ゴクリと口の中のパンを呑み込んだ。
「…さ、さあ?測ったことないから、分からない…。」
ラグビーをやっていた時には、身長と体重の計測は頻繁にしていたけれども、女性じゃあるまいし、あまり胸囲には頓着がなかった。
「そうだよねぇ。測ったりしないよねぇ~。」
その男子は、そう言って屈託のない笑顔を見せてくれたが、やはり仕草がナヨっと女っぽい。顔つきも端正でアクがなく色白で、それこそ女の子みたいだ…。