Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
隆生は、もう一つ溜息を吐いて、言葉を選ぶように口を開く。
「写真はそうかもしれないが、見合いはそれだけじゃないだろう。向こうだって結婚しようと思ってるんだ。お前の学歴や高校で教員をしていることも見越して、申し込んできたんだと思うよ。町長の息子さんはどこだったかいい大学を出て、今は新聞社で働いているらしい。ゆくゆくは町長さんの跡を継いで、政治の道を志す可能性だってある。そんな人の奥さんになる人は、誰でもいいってわけじゃないからな。」
要するに、ある程度育ちが良く能力の高い女性でないと、結婚相手として似つかわしくないということだ。そしてみのりが、そのお眼鏡にかなったということなのだ。
今度は、みのりが深い溜息を吐いて頭を抱えた。
「……それに、これはお前に言うべきじゃないのかもしれないが、話を持ってきて下さったのは、父さんや母さんが昔から世話になっている人でね。その人も、とてもいい縁談だと言って喜んでくれてるんだ。」
その話を聞いて、みのりは大体の察しがついた。
きっと、御堂さんという人のことだと思う。町内に基盤を持つ、大きな酒造メーカーの社長。その人は、みのりが育った寺の檀家ではなかったが、信徒としてかなりの支援をしてくれている。
それで、喜代美がこのお見合いを断行しようとしていることにも合点がいく。