Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりは頭を抱えたまま、目を閉じて唇を噛んだ。
みのりだって子どもではないから、今の状況がどんなものか理解できる。いわゆる〝大人の事情〟に振り回されることになるけれども、駄々っ子のように逃げ続けていても、どうにかなるようなものではない。
この縁談をあまりにも頑強に拒めば、父親や母親の立場に関わってくるだろう…。
「……分かった……。会うだけ、会ってみる。…お見合いはいつ?」
それから、急きょ日程が調整され、お見合いはみのりが帰省している連休中、みのりが同意をしてから2日後に設定された。
お見合いと言っても、振袖を着るような堅苦しいものにはしないと申し合わせたが、それでも帰省した時の普段着で会いに行くわけにもいかず、みのりは喜美代にせっつかれて、大急ぎでデパートまで新しい洋服と靴を買いに行った。
新しい服に袖を通すというのに、みのりの心はちっとも浮き立たない。それどころか、気が重いせいで体に倦怠感が充満し、動くのさえ億劫に感じる。
昨年、数枚のお見合い写真を見た中で、一番「ヤバい」と思った相手だ。
会う前から、当たり障りなく断る理由を探して、みのりの頭はいっぱいだった。