Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
それに、蓮見のこの落ち着き方は、どう見ても20代ではない。みのりは一番身近な20代男性の古庄を思い浮かべながら、そう感じていた。
「そうなんですよ。でも、みのりさんは普段高校生に接しているからか、とても若く見える…って言ったら、失礼かな?とにかく、僕よりも年下かと思うくらいです。」
「いえ、私は年相応だと思いますが、蓮見さんの方こそ、とても落ち着いていらっしゃって…とても、私より年下には……。」
「年下の男性は、ダメですか…?」
会話の中から飛び出してきたその問いに、みのりはグッと言葉を呑み込んでしまった。
突然、目の前に遼太郎が現れてきたかのような錯覚に、みのりの心臓が跳び上がる。
「年下の男性」が、ダメなはずがない。現に今、意識の大半を占拠しようとしているのは、12歳も年下の男の子だ。
こんな時にもかかわらず、遼太郎の存在は、みのりの体を芯から震えさせる。みのりはギュッとバッグを握りしめて、あらんかぎりの平常心を総動員させて、遼太郎を意識の中から締め出した。
「大事なのは、年齢よりも相性だと思います。」
みのりの心の中はまだ乱れていたが、なんとか自然な感じで答えることが出来た。