Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「そうですか。……よかった。」
蓮見はみのりの言葉を聞いて、ニッコリと笑った。
みのりはその笑顔を見て、これまであのカフェで見せてくれていたのは作り笑いだったのだと気が付いた。それほど、この時の笑顔は屈託のない心からのものだった。
――『よかった』って、言われても……。
みのりは心の中で、困り顔をした。このお見合いの後、断りを入れようと思っているみのりだったが、こんな蓮見の顔を見ると良心がチクチクと痛んだ。
断るのならば、期待を持たせるようなことは、言わない方がいいのかもしれない。でも、あれがみのりの本心だし、失礼なことを言うわけにもいかない。他にどう言えばよかったのだろう…。
そんなふうに、あれこれモヤモヤとした思考がみのりの中を充満し始めた頃、車は蓮見が予約を入れていたレストランへと到着した。
小高い山の中腹にあるこのレストランに、みのりは来たことはなかったが、名前だけは知っているような有名なところだ。
イタリアンレストランと言っても、みのりが普段女友達と行くようなカジュアルなところではなく、結婚式なども行われることもある格式のある店で、当然予約は必須条件だ。その予約をしても、何か月も待たねばならないということを、かつてみのりは聞いたことがあった。