Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
お互い結婚相手を探してお見合いをしているのだから、これから前向きに交際が進んでいくと思うのは、至極当然のことだ。
そう考えると、今この瞬間でさえ、断る口実を考えている自分が、とても不実な女のように思えてくる。
「…前菜とメインとパスタを、それぞれ選ぶんでしたっけ?」
これからの展望を話題にしたくないみのりは、たくみに話を変えた。
「ええ。…決まりました?」
「はい。」
蓮見はウェイターに手を上げて合図をし、注文を始める。
このスムーズな動作といい、先ほどの店内に迎え入れてくれる時の身のこなしといい、蓮見はその草食系の外見とは裏腹に、こういった状況や女性の扱いにずいぶん慣れているみたいだった。
それから、食事をしながら、お互いの仕事のことなどの話をした。
蓮見は何でも、みのりのことについて知りたがった。学校における授業以外の細かい仕事のことや、部活動のこと。
みのりの専門教科である日本史のこともいろいろと訊いてきたが、蓮見自身も新聞記者ということもあるのだろう、みのりでさえ「えっ!」と驚くようなことも知っていた。
学校現場の問題点のようなことにまで話が及び、話をしながらみのりは、いささか取材を受けているような気分にさえなった。