Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
みのりの方は、根ほり葉ほり蓮見に質問することはなかったが、蓮見は自ら自分を語ってくれた。それでも、新聞記者という未知の職業についての話を聞くのはとても面白く、みのりは自然と蓮見の話に引き込まれていった。
「それ…、美味しそうですね。僕の料理と、ちょっと取り替えっこしてください。」
蓮見がみのりの前にあるパスタの皿を覗き込んで、そう提案してきた。
――えっ?!
そんな戸惑いを含ませて、みのりが蓮見の顔を見上げると、眼鏡の奥の優しい目で、蓮見はみのりを見つめ返してくれていた。
「……いいですよ。」
みのりはナプキンで口を拭きながら頷いた。イタリアンの店に来たら、お互いの料理を分け合って食べるのはよくあることだ。
みのりは取り分けるための新しい皿を、ウェイターに頼もうとしたのだが、それよりも先に蓮見の腕が伸びて、お互いの料理の皿を入れ替えた。
「僕が頼んだパスタも食べてみてください。美味しいですよ。」
そう言いながら、蓮見はすでにみのりが頼んだパスタを口に運んでいた。
みのりは唖然として蓮見を見つめ、それから目の前に置かれた蓮見の皿に目を落とした。