Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「すみません。調子に乗って。」
蓮見は肩をすくめて、お互いの皿を元に戻した。
その様子を見て、クスッとみのりが笑いをもらす。こんなところを見ると、やっぱり年下だと思う。蓮見もみのりの笑いを聞いて、恥ずかしそうに自分も笑った。
みのりは蓮見に対して、礼儀正しく硬い印象を受けていたが、案外気さくな人間みたいだ。
みのりも少し打ち解けて、美味しい料理の味も感じられるようになり、当たり障りのない世間話をしながら後の時間を乗り越えた。
食事が終わって、会計をしようとした時、蓮見が二人分を支払おうとしたので、みのりが横から口を出した。
「会計は、別々にお願いします。」
ここで、蓮見に奢ってもらうわけにはいかない。こんなことで蓮見に対して恩を感じたり、引け目を感じたりしたくなかった。
けれども、食事代は1万5千円――。
――…あの料理が1万5千円?!ウソでしょう?
みのりはクラクラしながら、もう少し味わって食べたらよかったと後悔した。
義理でした食事にこの値段を支払うのは、もったいないという気持ちが先に立ったが、高価な分、なおさら蓮見に出してもらうわけにはいかなかった。