Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「すみません。調子に乗って。」


 蓮見は肩をすくめて、お互いの皿を元に戻した。
 その様子を見て、クスッとみのりが笑いをもらす。こんなところを見ると、やっぱり年下だと思う。蓮見もみのりの笑いを聞いて、恥ずかしそうに自分も笑った。

 みのりは蓮見に対して、礼儀正しく硬い印象を受けていたが、案外気さくな人間みたいだ。


 みのりも少し打ち解けて、美味しい料理の味も感じられるようになり、当たり障りのない世間話をしながら後の時間を乗り越えた。


 食事が終わって、会計をしようとした時、蓮見が二人分を支払おうとしたので、みのりが横から口を出した。


「会計は、別々にお願いします。」


 ここで、蓮見に奢ってもらうわけにはいかない。こんなことで蓮見に対して恩を感じたり、引け目を感じたりしたくなかった。

 けれども、食事代は1万5千円――。


――…あの料理が1万5千円?!ウソでしょう?


 みのりはクラクラしながら、もう少し味わって食べたらよかったと後悔した。
 義理でした食事にこの値段を支払うのは、もったいないという気持ちが先に立ったが、高価な分、なおさら蓮見に出してもらうわけにはいかなかった。


< 189 / 775 >

この作品をシェア

pagetop