Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
ポンポンと、みのりの背中を叩いて、蓮見は砂を落としてくれている。
「…だ、大丈夫です。」
とっさにそう言って、みのりは思わず身を引いていた。
こんなに暗くて誰もいないところで、必要以上に男性に近づいてはいけない…。草食系の蓮見相手でも、みのりは警戒して体を硬くした。
そして、みのりのその態度の意味を、蓮見は敏感に察知して、それ以上みのりに触れようとはしなかった。
お互い気心が知れていない状態で、こんなロマンティックなところに来るのは、打ち解けられるどころか却って逆効果だ。蓮見は消沈した面持ちで、駐車場への階段を上がり始めた。
「……確かに、みのりさんの言う通り、これまでに想いを寄せてくれる女性はそれなりにいました。」
蓮見は気を取り直すように、突然本題を持ち出した。みのりも遅れて階段を上りながら、蓮見の話に耳を傾けた。
「実をいうと、去年初めてみのりさんの写真を見せられた時には、付き合っている女性もいたんです。」
――…やっぱり……。
蓮見の話を聞きながら、みのりは心の中でそうつぶやいていた。
長身で端正な顔立ち、これだけの経歴とステータスを持つ蓮見を、周りの女性たちが放っておくはずがない。女性の扱いや言葉の端々に、女性との経験の多さを感じ取れていた。