Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…明日、宇津木くんとは顔を合わせにくいかもしれないけど、彼は真剣に試合に臨むはずだから、今日のことは考えずに愛ちゃんはマネージャーとしての仕事を全うするべきだと思うな。愛ちゃんが正しいと思うことをちゃんと考えて行動していれば、たとえどんな答えを出したとしても、宇津木くんも宮園くんも受け入れてくれると思うよ。」
みのりはパイプ椅子から立ち上がると、励ますように愛の肩に手を置いた。
そこから力を得たように愛が微笑むと、それを見て安心して職員室へと足を向ける。
みのりは自分に言い聞かせた。
今、愛に言ったように、自分はいつも正しいと思うことを考えて、それを行動に移してきたはずだ。
石原と別れる決心をした時も、……遼太郎を傷つけて突き放した時も。その自分が出した答えを、石原も、そして遼太郎も、きっと理解してくれている……。
みのりはそう信じて、自分を必死で肯定した。
次の日に行われた花園予選は、あっけない幕切れ。結局みのりは、1試合も応援に行くことなく、終わることとなった。
――愛ちゃんは、どうしたんだろう……。
宇津木から一方的に言い渡された『勝ったら付き合って』の約束からは、とりあえず免れた結果になって、きっとホッとしていることだろう。