Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
感動すれば、それを遼太郎と分かち合いたいと思う。
そんな叶わない願望を意識して、もっと辛くなってしまわないためにも、今は…みのりは敢えて抜け殻でい続けようと思った。
花園予選も終わると、3年部はいよいよセンター試験に向けて、臨戦態勢となる。毎日の授業は、予備校さながら試験の傾向と対策となり、教師も生徒も目の色が変わってくる。
特に地歴科は、直前の勉強も本番の結果に繋がってくるので、生徒たちの力の入れ方も他教科以上だった。
そんないつもバタバタしている3年部に加え、今日は2年部もなんだか慌ただしい。
今年、みのりは2年生の授業は担当していないが、去年はこの学年の日本史選択者全員を請け負っていたこともあって、親しみは深かった。
そんな2年部でも、給湯室で暇そうに新聞を読んでいた古庄を捕まえて、みのりは慌ただしい原因を尋ねてみた。
「ああ、2年5組の野上先生のクラスで、研究授業があるから。」
と、古庄は相変わらず爽やかな笑顔で答えてくれる。
そう言えば、職員朝礼でそんなことを言ってたような気がする…と、みのりは今更ながらに思い出す。
「研究授業?校内の…じゃないよね?」