Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――頑張れ、野上先生。どんなこと言われても、あと1時間ですべてが終わるから。
未だに緊張感たっぷりの野上の顔を遠くから見遣って、みのりは心の中でエールを送った。
反省会が終われば、他校の教員たちはすぐに帰ってしまい、学校にはいつもと変わらない日常が戻ってくる。
アメリカンフーの紅い梢が伸びる青い空を仰いで、みのりの心がキュンと痛くなる。
こんなふうに抜けるように青い空を、何度遼太郎と眺めたことだろう……。喉元にせりあがってくる切なさを、みのりは大きく息を吐いて、なんとか落ち着かせた。
生徒の前で泣いてしまう不覚は、繰り返したくない。絶え間なく落ちてくる木の葉を、懸命に掃いて集めている生徒たちを見守りながら、みのりは唇を噛んだ。
「ああー、今掃いたところに、もう葉っぱが落ちてるー!」
一人の女子生徒が、そう言って口を尖らせた。
「うん、しょうがない。清掃時間に全部きれいにするのは無理だから、出来る範囲のことをやればいいのよ。そのうち葉っぱが全部落ちれば、掃除も楽になるし。」
落ち葉を集めて、大きなビニール袋に入れるのを手伝いながら、みのりが振り返る。