Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「えっ!先生けっこういい加減なのね…。」

「そうそう、いい加減なの。何でもきっちりしてると疲れちゃうから。」

「わー、意外―。先生って、何でもきっちりしてるのかと思ってたー。」


と、葉っぱを塵取りで取ってビニール袋に入れていた、もう一人の女子生徒も会話に入ってくる。
 かったるい掃除も、こんなおしゃべりをしながらだと楽しい。

 今降り注いでいる小春日のように、みのりの心の中にも小さな陽だまりが出来る。なんだか久しぶりに穏やかな気持ちになって、放課後の個別指導も頑張れそうな気がした。


 清掃指導から戻ってくると、みのりの机の上に、メモが残されていた。


『職員会議用の資料を作るので、終礼後に小会議室へ集合してください。』


 メモを呼んで、みのりの顔が渋くなる。
 もちろん放課後には、個別指導を入れている。一人か二人はキャンセルしなければならなくなるだろうか…。せっかくのやる気を削がれて、みのりは溜息を吐いた。


 終礼が終わったころ、みのりは早速小会議室へと赴いた。教務の仕事を早く終わらせて、一人でも個別指導をこなしておきたい。

 勢いよく小会議室のドアを開けて、みのりは軽快に室内に駆け込む。


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