Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
――……いや!助けて!……遼ちゃん……!!
みのりは心で遼太郎を呼びながら、それ以上キスが深められないように、唇を硬く引き結ぶしかできなかった。
激しいキスから解放されたにも関わらず、みのりはその身体をガタガタと震えさせた。
感情の制御が利かず、涙が止めどもなく流れ出してくる。
かつては好きでたまらなかった人の腕の中にいるというのに、みのりの心の中は遼太郎でいっぱいだった。みのりの心も体も、遼太郎以外は受け入れられなくなってしまっていた。
だから、何としても、このまま石原の激情に流されるわけにはいかない。
「……石原先生。そんなふうに想ってもらっても…、 もう、私はあの頃とは違います。」
「君は何も違っていない。あの頃と同じように、綺麗だ…。」
真意が伝わっていないと、みのりは石原のネクタイに額を付け、抱きしめられたまま頭を抱えた。はっきり言わねばならないと、勇気を振り絞る。
「他に好きな人がいます。この命よりも、大事な人がいるんです。」
石原の体が、ピクリと強張るのを感じた。そして、その腕は脱力するどころではなく、ますます強固な鎖となってみのりを締め上げた。
「そいつと……結婚するのか?」
石原の中に違う感情が漂ってきている。震えている声色に、それが現れていた。