Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「結婚は、……できません。付き合ってもいませんから。でも、私はその人を想いながら、独りで生きていくって決めてるんです。」


 みのりの言葉を聞きながら、石原はさらなる力を込めて、みのりを離そうとはしなかった。みのりの耳には、自分の大きな胸の鼓動と石原の荒い息遣いだけが聞こえてくる。


 もうキッパリと拒絶して、意思表示はした。これ以上、石原の腕の中にいる必要はない。一刻も早くここから抜け出して、この部屋を出て行かねばならない。

 みのりが石原の腕から逃れようと体をよじらせた瞬間、


「だったら、そいつを忘れさせてやる…!」


みのりの体は石原によって、長机の上に押し倒されていた。

 みのりが驚いて目を見開いた時には、無防備だった唇は塞がれて、みのりの意志に反してキスは深められる。


「やめてください!」


 顔を背けキスを拒み、体を起こそうとすると、石原の両手がみのりの肩を押さえつけた。そして、みのりのブラウスのボタンを引きちぎりながら、胸元を開く。

 初めて見るそんな暴力的な石原に、みのりは恐れおののき、体がすくみ、動けなくなった。


「いや…!やめて…。」


 首筋から胸元に石原の髭が滑り落ちるのを感じながら、みのりは涙声で懇願した。


< 250 / 775 >

この作品をシェア

pagetop