Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
でも、人の気持ちはそんなに簡単なものではない。みのりは『人の気持ちは変わりやすい』と言っていたが、遼太郎のみのりへの気持ちはもう変えようがなかった。
――先生への気持ちをなくしてしまったら、俺が俺でなくなってしまう……。
そんなことを悶々と思いながらただ道を歩いていたら、いつの間にか大学を通り過ぎて、普段通学では使わない道を歩いていた。
一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなり、遼太郎は焦って周りを見回した。
視界の中に見慣れたものが過る。
それは通学路でいつも見る…というものではなくて、何か自分の記憶の中に刻み付けられたもの…。
遼太郎がもう一度同じ場所を目で辿ってそれを確かめると、背の高い常緑樹の向こうに、空に向かって突き出た2本の白いポール…。きっとゴールポストだろうと思われるものが見えた。
まるで引き寄せられるように、遼太郎はゴールポストの方へと向かって歩き出す。
公園の向かい、遊歩道横のフェンス越しに臨めたのは、私立の学校のグラウンドだった。高校生だけではなく、体の小さい生徒達もいるので、おそらく中学生のラガーマンだろうと、遼太郎は想像を巡らせる。