Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「…悪い。こっちが先約だったのに、ドタキャンして。」
佐山はしばらく不穏な目つきで遼太郎を見つめていたが、一息抜いて、口を開いた。
「…遼太郎。甘すぎだよ。そんな風に甘やかしてたら、そのうち舐められて下僕のように扱われるぜ。」
「狩野くんが悪いんじゃないよ。…あれは、彩恵ちゃんの方がひどいと僕は思う。」
樫原はそう言って遼太郎を弁護したが、憤慨している様子は佐山と変わらなかった。
「…いや、本当にすまない。でも、茂森さんとは約束してたんだ。どこでも行きたいところには付き合うって…。」
遼太郎がそう弁解しても、樫原は、自分たちとの約束を反故にされた怒りがくすぶって、その矛先は彩恵へと向けられる。
「彩恵ちゃんって、ちょっと可愛いけど、けっこうヤな女なんだね!!」
女同士の陰口みたいな樫原の言い方に、佐山はさすがに閉口する。
「…猛雄、お前。茂森さんは、仮にも遼太郎の彼女だぞ。」
「でも!すっごいワガママじゃない。ああやって駄々をこねてねだれば、何でも自分の思い通りになると思ってるみたい!」
「確かに、女のワガママは可愛く思える時もあるけど、さっきのあれは、さすがにちょっとウザかったけどな…。」