Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 これまで側で見守ってくれていたけれども、きっと見るに見兼ねての言葉なのだろう。


 遼太郎はこの言葉を、ありがたく受け止めて、否定も肯定もしなかった。ただ、寂しそうな笑顔を見せて、一つ頷く。


「うん、分かってる…。これは俺の試練なんだ…。」

「…試練…?」


 遼太郎の受け答えに、樫原も首をかしげたが、遼太郎はそれについてそれ以上何も語らなかった。佐山と樫原もお互いの目を見合わせて、それ以上このことを話題にするのをやめた。




 日曜日、ラグビースクールのコーチに行くようになった遼太郎は、緊張する心持とは裏腹に、すんなりとそこへ受け入れられた。
 同じスポーツをする仲間は、こんなにも通じ合えるものなのか…。そう思えるくらい。

 以前、少しだけ練習を共にした子どもたちのおかげで、スクール生たちに警戒されることもなかった。他のコーチたちより子どもたちに近い遼太郎の存在は、大きなお兄ちゃんといったところだ。


 練習は低学年・中学年・高学年に分かれて行われている。
 若くて活きがいいということと、コーチの数が足りなかったということで、遼太郎は高学年の練習に入ることになった。といっても、練習を主導してくれるのはベテランのコーチで、遼太郎は他のコーチたちと共にサポートをするというかたち。


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