Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
同時に、遼太郎は子どもたちの意欲と吸収力に驚いていた。
教えたら教えた分だけ伸びていってくれるのなら、育てる喜びも感じられる。自分の技術を伝授して、立派な選手に成長してくれたら、それはどんなに嬉しいことだろう。
「狩野くん!教え方上手いねぇ。びっくりしたよ!吉住くん、本当にいい人を連れてきてくれたよ。」
練習が終わって、そう言ってくれたのは、このラグビースクールの代表をしている新谷コーチだ。還暦をとうに超えたお爺さんだが、まだまだ元気な現役のラガーマン。
「びっくりついでに、頼みたいことがあるんだが…。」
と、早速新谷コーチに持ちかけられる。
「…何でしょう?」
「今度の24日から3日間、高学年だけ合宿をする予定になってるんだ。それに、一緒に参加してやってくれんかね?」
思ってもみない話に、遼太郎の心は浮き立った。3日間も一緒にいられれば、子どもたちの顔と名前を憶えてしまえる。それどころか、一人一人のパーソナリティだって観察できるだろう。
「願ってもないことです。ぜひ参加させてください。」
と、二つ返事で、遼太郎はこの話を受けた。
早く24日が来ないかとワクワクして、気持ちが逸り始める。