Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「みのりちゃんの方が俺を探してたんだろ?それで、廊下を歩いてるの見かけて…。みのりちゃん、アイツ…伊納先生のこと迷惑そうだったし…。」
「……『みのりちゃん』…?」
俊次が自分のことをそう呼ぶのを、みのりが気に留めると、俊次はもっとむすっとした表情になる。
「だって、俺。みのりちゃんの名字知らねーもん。」
あっけらかんとしたその答えに、みのりもおかしそうに息をもらした。
「名字は『仲松』っていうのよ。」
「ふうん。で、仲松みのりちゃんが俺に何の用?」
いきなり本題を持ち出されて、みのりはグッと息を呑み込み、言葉を選んだ。慎重に説得しないと、『マジでウザい』と思われては元も子もない。
でも、こんなふうに話をする体制になっているのに、何でもない世間話をするのも不自然だ。
「……俊次くんは、あれから部活のこと何か考えた?」
俊次は表情の中に不穏なものを漂わせて、みのりのことを見つめ返した。
「また、その話かよ。高校じゃ、部活はしねーって言ってたの忘れたの?ようやく勧誘もされなくなってきて、せいせいしてるってのに。」
想定通りの答えが返ってきて、みのりの表情も渋くなる。この手ごわい壁を突き崩さないと、説得は難しいだろう。
「部活しなくて、何か他にしたいことはあるの?」
「何か他に…?」